中薬を選ぶ理由
中医学の起源
最も古くは人類が発展し始めた時期にまで遡ることができます。例えばニンニクやトチュウのように、多くの薬材は健康に効果があり、薬としての特性も兼ね備えている食材や香辛料です。このように、中医学は日常的な食物から、疾病を治療するための薬草にまで発展してきました。見つかっている最古の記録は紀元前15~11世紀のもので、中医学の独自の理論は既に3000年以上の歴史があります。多くの治療法は中国各地にいる医師から口頭で伝授され、やがて広く伝わり周知されるようになったものです。時代とともに基礎的な中薬の配合方法が文書となり、書籍として継承されるようになりましたが、実際に標準化がなされたのは20世紀の1950~1960年代になってからのことです。
西洋医学の台頭
人々の社会が農業から工業へシフトするにつれ、現代では西洋医学が病気の診断や治療の主流となっています。西洋医学はペニシリンという重大な発見をきっかけとして、疾病症状に対して迅速かつ効果的な治療を施すことができますが、往々にして症状の根本にある原因を解決することはできません。また、西洋医学の治療法では高度に濃縮された単一成分の薬物が使われるため、体に対する刺激が非常に強いものとなっています。その副作用を軽減させるために、更に多くの薬を使用することさえあるのです。西洋医学は、今悩まされている問題について、主に薬や手術でその問題を取り除き、改善することを目的として治療を行います。
中医学と西洋医学の違い
中医学では、体全体を互いに関連のある一つの生物学的システムとしてとらえており、体のある部分に出た症状は、実は他の部分と関係していると考えています。中医学は病症そのものを治すことだけに着目しているのではなく、体全体に潜む疾病の根源を治癒させることに重きを置いており、体や免疫システム全体の状態を改善することが目的です。突き詰めていうと、健康という概念はただ疾病がないという状態ではなく、体全体のバランスを修復・維持し、全身を一つの影響し合う小宇宙として見るのが中医学の考え方です。既に疾病を患っている方でも、中医師は引き続き患者さんの体調をよりよい健康な状態になるよう導きます。ガン・肝炎・エイズなどの疾患に対してもサポート治療が可能です。
西洋医学は科学的な方法で疾病の症状を解決します。十分に研究された単一化合物で様々な薬物や有効な治療法を作り出し、迅速に症状を治療することができます。しかし残念ながら、これらの治療法では症状を効果的にコントロールできても、根本にある原因を解決することはできません。また、西洋薬や治療法により引き起こされた2次的、3次的な副作用の対策として更に多くの薬を投与するケースもあり、これにより終わりなき悪循環に陥ってしまうのです。