腎臓は膀胱、骨髄、脳、髪、耳などと共に腎系統を形成しています。腎臓は精を主に蓄積し、気を受け入れ、骨を主宰します。これは人体の臓器の陰陽の根本であり、生命の源となるため、「先天の根本」とも称されます。
腎臓は脊柱の両側に位置し、右と左に各1つずつあります。右の方がやや下に、左の方がやや上に位置しており、外見は楕円形で曲線を描いたササゲに似ています。腎臓は膀胱、骨髄、脳、髪、耳などと組み合わさって腎系統を構成しています。腎臓は主に精気を貯蔵し、水液の調節や気を取り入れる役割を果たし、骨を支配します。人体の臓器の陰陽の根本であり、生命の源として、先天の本と呼ばれています。五行説では水に属し、陰の中の陽に位置します。四季において冬と対応しています。
腎は精気を貯蔵し、成長と発育を主に担っています
腎臓は精気を貯蔵し、人体の成長と発育、生殖能力と密接な関係があります。精気は人体の原始物質であり、さまざまな機能活動の物質基盤でもあります。腎臓が貯蔵する精気には「先天の精気」と「後天の精気」の2つがあり、お互いに依存し、促進しあっています。先天の精気は後天の精気によって不断に栄養を与えられ、後天の精気は物質的な基盤として先天の精気を備えています。もし腎臓が精気を貯蔵しなければ、成長と発育に影響を及ぼし、成長が遅れることや、子供の筋骨が弱くなるなどの問題が生じる可能性があります。また、成人の場合、生殖能力に影響を及ぼし、男性の場合は勃起不全や遺精、不妊症、女性の場合は生理不順や不妊症などが現れる可能性があります。
腎は水液を主に司ります
腎臓は体内の正常な液体を総称して「水液(すいえき)」と呼ばれます。腎臓は人体の水液代謝を調節する役割を持ちます。人体の水液代謝は、次の2つの側面を含みます:1つは体内の津液(じんえき)と呼ばれる潤滑作用を持つ微細な水分を全身に供給することです。もう1つは、臓器組織の代謝によって生成された不純物を体外に排出することです。これらの2つの側面は、腎臓の機能によって達成されます。腎臓の開閉作用は、水液代謝のバランスに影響を及ぼします。開閉は、尿液の排出と体液の保持を意味します。正常な生理状態では、腎の陰陽は相対的に平衡しており、開閉作用も調和しているため、尿液排泄も正常に行われます。
腎は主に気(気血)を収める役割を持ちます
腎臓は清気(気血)を吸収して呼吸を調節する役割を持っています。人体の呼吸運動は肺が主に担当していますが、吸気は必ず腎に帰属し、腎の気がそれを吸収することで呼吸がスムーズかつ均等に行われます。正常な呼吸運動は肺と腎の相互協調による結果です。腎の気が充実し、吸収が正常に行われることで肺の呼吸が均等になり、気道が通畅になります。もし腎の納気機能が低下し、吸収が不足すると、呼吸が浅くなり、吸気が困難になるなど、腎の納気機能の病理的変化が生じる可能性があります。
腎の開竅(気の通り道)は耳と二陰(腎経の経絡)にあります
耳の機能は腎精の充実に依存しており、腎精が充足していると聴覚が鋭敏になります。腎精が不足していると耳鳴りや聴力の低下などが現れることがあります。また、尿液の貯蔵と排泄は膀胱の機能によるものですが、実際には腎の気化作用によって成り立っています。そのため、頻尿、遺尿、尿量が少ない、尿閉などの問題も腎の機能障害と関連している場合があります。さらに、糞便の排泄は大腸の機能によるものですが、腎の機能とも関連しています。例えば、腎陰が不足していると腸内の潤滑が不足し、便秘が発生することがあります。
腎は骨を主とし、その華は髪にあります
腎は精を貯蔵し、精は髄を生み出すことができます。髄は骨の空間に蓄積され、骨を栄養するため、腎は骨を主と言われています。腎の精が充足していれば、骨髄も充実し、骨に必要な栄養を得ることができ、骨は堅固で力強くなります。逆に、腎の精が不足していると、骨髄が不足し、骨を栄養できなくなります。その結果、骨は弱くなり、発育不良が生じることがあります。例えば、小児の骨軟無力や囟門遅延などは、腎の精不足と関連があります。また、歯も骨の一部であり、腎の精による栄養が必要です。歯の健康も腎と関係があります。
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