中薬は製剤化された後、次のステップである「煎服（せんぷく）」に進みます。処理された薬材を鍋で煎煮し、煮出した薬湯を服用します。しかし、薬湯は毎回の煎煮が手間がかかり、製品の保存も容易ではありません。長期間家を離れる場合、自分で準備することは不可能です。そこで、この問題を解決するため、古代人は黒薬丸を生み出しました。

ハチミツは天然の保存料であり、古代エジプトの墓の中には今日まで腐敗しないハチミツが残っています。その極めて低い水分含有量と液体の粘性の増加能力は、古代の中医師に着想を与えました。彼らはハチミツを薬湯に加え、加熱して乾燥させ、最終的には長期間保存し、持ち運びが便利な黒薬丸を作り出しました。その漆黒の外観は、ハチミツが加熱されて焦げた色です。また、ハチミツ自体が薬効を持っているため、各種薬材の効果をより統一的にすることができ、最適な賦型剤（ふけいざい）となります。

現代の科学の進歩により、中薬は散剤や錠剤などさまざまな剤型が存在しますが、伝統的な黒薬丸は丸みを帯びた形状で飲み込みやすく、全天然の原料で作られているため、依然として最良の選択肢の一つです。